人生の深みを考えてみるブログ

~現代社会になかなか見当たらない”価値あるもの”を探して~

映画”パラサイト”考察

最近、地上波でも公開され、再び話題となっている”パラサイト”

1年前に見たけど、改めて考察してみた。(完全ネタバレです。)

是非、何かコメントあれば、お願いします!

 

 

1.ギジョン(キム一家の娘)

  はなぜ一人、命を落とすことになったのか?ー水害時のシーンより考察

 

物語のクライマックスであり、大きな考察ポイントの1つである「ギジョンの殺害」

について考察したい。なぜ、ギジョンだけが命を落とし、他のキム一家は生き延びたのだろう。水害時に各家族が持ち出したものに、その原因が伺えるのではないかと考えた。

 

水害時で、半地下の家がまさに水没する時、彼らは家に戻ってくる。場面としては、今まさに自分たちの住居が失われる訳であり、そこで持ち出すものは、ある意味登場人物の最も大切にしている価値観が現れていると考えてよいだろう。実際に持ち出したのは以下である。

 

ギウ・・・石(庭石、水石)

ギテク・・・妻のメダル

ギジョン・・・タバコ・お金

 

これらは一体何を象徴しているのだろう。

ギウについては、水石を持ち出した。これはミニョクから貰った

ものであり、そのミニョクとはまさにギウの憧れの人であり、ギウの送りたかった人生でもある。貰った後にミニョクの代わりに家庭教師として金持ち一家に寄生し、一家含めて人生が好転している。(途中までは)

他の多くの人も考察しているが、ギウにとってこの水石は

”転機をもたらすもの””希望”の現れだと思われる。(別の視点で”学歴”や”学歴社会に代表される価値観”と考察しているのもある。無論、その意味を持つとも思う)

 

ギウにとっては水石を持つことによって「今は苦しい現状だが、計画を立てて実行すれば将来はミニョクのような素晴らしい(と、ギウが思う)人生を送れるだろう」と思わせるものになっている。言い換えれば、明るい未来を想起させるものであろうか。

 

また、ギテクは妻のメダルを持ち出した。メダルは妻の過去の栄光の象徴である。

 

一方、ギジョンだけは、お金とタバコを持ち出した、ひいては、タバコを吸い始めさえした。このシーンは多くの人に”かっこいい!”と評価されている。

 

これらには明確な対比構造がある。

「未来」を志向するギウ、「過去」に執着するギテク、彼ら二人はそれらに執着することで、現実への直面を避けていると考えられる。

 

しかし、ギジョンだけは、俗物的で現在、現実に根差しており、”今・ここで”価値を持つお金・タバコを持ち出した。どちらも使うとなくなるものである。(ギウ・ギテクが持ち出したものは消費物ではないし、現物的価値があるものとはいえない)

 

ここに明確にギウ・ギテクとの差が現れており、一人だけ”現実に根差し、今・ここで価値あるものに目を向ける”キャラクターが浮き彫りになっている。

 

資本主義社会の中で成功できず、何とか生きているキム一家にとって、生活面に満足できていない中、他のものを想起することに心の拠り所を見出していた中、ギジョンはただ一人異質な存在で、キム一家にとっては、排斥されるべき存在となっているのである。それがクライマックスシーンへつながったのではないだろうか。

 

※ギジョンのシーンがかっこいい!と叫ばれるのは、新型コロナウイルスのような災害とも呼べるべき時期(=この作品でいう水害)で、中々現実と向き合うのが難しいなか、ギジョンのように現実に直面する姿に尊敬の念を抱いているのではないか、と考察される。(あくまで個人的な見解です。)

 

続きは別で

↓こんなの書こうか迷ってます

 

2.”匂い”について

 

3.”パラサイト”していたのは誰か?

 

4.階層構造について(あなたの心の中に完地下はないか?)

 

5.映画や小説を批評したり、論ずることに意味はあるのか?